後立山(長野/富山) 針ノ木岳(2820.7m)、蓮華岳(2798.7m) 2021年8月28日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 1:09 扇沢市営駐車場−−1:15 登山口−−1:36 車道を離れる−−2:16 大沢小屋−−2:37 篭川河原に下る−−2:49 左岸で行き詰り戻る−−2:57 橋で右岸に渡る−−3:18 橋で左岸に渡る−−3:37 右岸に渡る−−3:51 最終水場−−4:25 針ノ木峠−−5:16 蓮華岳 5:33−−6:15 針ノ木峠−−7:01 針ノ木岳 8:55−−9:28 針ノ木峠−−10:03 左岸へ秋道が移る−−10:18 橋で右岸へ−−10:30 橋で左岸へ−−10:37 篭川河原を離れる−−10:54 大沢小屋−−11:24 車道−−11:37 水浴び 11:142−−11:47 登山口−−11:52 扇沢市営駐車場

場所長野県大町市/富山県中新川郡立山町
年月日2021年8月28日 日帰り
天候晴後ガス後晴 南西の風強し
山行種類一般登山
交通手段マイカー
駐車場扇沢駅直下の有料駐車場より下に市営無料駐車場あり。ただしハイシーズンには早朝に満車になるので注意
登山道の有無あり
籔の有無藪漕ぎのレベルではないが、大沢小屋手前で笹が登山道にはみ出した区間があり、雨直後や朝露に濡れた時間に通過すると体に触れてびしょ濡れになるのでゴア必携
危険個所の有無無し
山頂の展望針ノ木岳、蓮華岳とも晴れれば大展望
GPSトラックログ
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コメント久しぶりに週末の天候が安定するとの予報で展望写真撮影に針ノ木岳、蓮華岳へ向かったが、早朝は爆風とガスで展望無しで蓮華岳の展望写真は得られなかった。次の針ノ木岳も最初はガスで何も見えなかったが1時間粘って徐々にガスが取れはじめ晴れに変わった。針ノ木雪渓は縮小し雪渓歩きは皆無で秋道に変わっていた。金曜日に左太ももを打撲して痛みがあり、特に下りでは痛みが酷く苦労した




夜中の扇沢駅 登山口。登山指導所テントは無かった
車道を離れて登山道へ 篭川の河原に降り立つ
左岸を登ったがここで行き詰り逆戻り この通行止めで左岸の秋道ではなく対岸へ向かうのが正解
橋へ向かう明瞭な道があった ピンボケだが右岸に渡る橋。水量多く橋が無いと渡れない
左岸へ渡り返す橋 左岸へ渡る橋のすぐ上部に沢を直進せぬようロープが張ってある
左岸は岩壁を登って大きく高巻きする 最終水場で水補給
針ノ木峠。到着時はまだ真っ暗。南西の風が強い 東の空は晴れているが西はガスがかかっている
まだ蓮華岳は晴れていたが稜線は暴風 蓮華岳山頂到着時はガスに覆われてしまった
一瞬のガスの切れ目で東尾根を見る 八ヶ岳、南アルプス方面。あちらはすっきりと晴れている
ブロッケン現象 タカネツメクサ
しおれたタカネシオガマ  1株だけ咲き残ったクモマスミレ
イワギキョウ イワツメクサ
萎れず残ったコマクサはこれだけ タカネヤハズハハコ
ミヤマアキノキリンソウ ハイマツの影のゴゼンタチバナ
ミヤマリンドウ 針ノ木峠を見下ろす
ハクサンボウフウ ミヤマコウゾリナ
花が終わったシロバナニガナ 針の木小屋。ここだけガスの下
次は針ノ木岳に向かう ヤマハハコ
タカネヨモギ テント場。意外に風が弱かった
イワギキョウの群落 咲き残ったミヤマダイコンソウ
ミヤマホツツジ。あちこちで見られる 針ノ木岳は稜線の風下側を登るので寒さが和らぐ
ミヤマリンドウ オトギリソウ
イワウメ。秋のお花畑で目立つ花 クロトウヒレン
エゾシオガマ ハクサンボウフウ
ミゾガワソウ ウサギギギク
ミネウスユキソウ 針ノ木岳山頂。ガスと強風で寒い!
まだ萎れずタカネシオガマが咲いていた トウヤクリンドウ
イワツメクサ ミヤマウイキョウ
ミヤマミミナグサ 時々ガスが薄まって頭上に青さが見えることも
1時間以上粘ってやっとガスが切れてきた
針ノ木岳から見た北東〜東〜南〜南西の展望(クリックで拡大)
針ノ木岳から見た南西〜西〜北〜北東の展望(クリックで拡大)
針ノ木岳から見た常念山脈、槍、穂高連峰。右奥には乗鞍岳
針ノ木岳から見た八ヶ岳、奥秩父
下山直前には白馬岳方面の雲も取れてきた 下山時の針ノ木岳
針ノ木岳から見たスバリ岳方面 針ノ木岳山頂で見たリンドウ。ミヤマリンドウでもオヤマリンドウでもない
トウヤクリンドウはあちこちにニョキニョキ生えている 扇沢方面を見下ろす
ミヤマリンドウ。今が花盛りだった 針ノ木岳を振り返る。青空は絵になる
こちらは蓮華岳。次に登るときはこれくらい晴れている時にしたい ミヤマホツツジ。象の鼻のような花柱が特徴
やっと鹿島槍北峰にかかった雲が取れた 針ノ木峠
針ノ木峠から下山 唯一残ったハクサンフウロ
ミヤマリンドウの群落 ガレた斜面をジグザグに下る
エゾシオガマ モミジカラマツ。籠川沿いでまだ多数咲いていた
ヨツバシオガマ。これも沢沿いでまだ咲いていた ミヤマキンポウゲも沢沿いで咲き残りあり
ミヤマダイモンジソウ。これも沢沿いで多数見た ウラジロタデ
クロウズコの実 晴天の土曜午前だけあって登りの多数の人あり
広義のシシウドだろう 雪渓が僅かに見えるがあの手前で左岸に移り高巻きしてしまう
? 初めて見る花 標高2150m付近
標高2110m付近。秋道が左岸に移り雪渓上は歩かない 左岸の巻き道
左岸の巻き道 オトギリソウ
トリカブト やたらと背が高いがミヤマコゴメグサのようだ
ヤマホタルブクロ ミヤマが頭につかないママコナだった
標高2050m付近 ほぼ咲き終わりのハクサンオミナエシ
オヤマリンドウ 標高2020m付近。岩壁直下
右岸へ渡る橋。ここは橋が無くても渡れそうだった 川まで岩が迫った場所で左岸と流れが接して往路で戻った場所
標高2000m付近 モミジカラマツの群落
最初の橋(標高(1840m付近) 橋に繋がる道と左岸の秋道の分岐。枝で塞いである
ヤマハハコ
ゴマナ ここで河原を離れて斜面のトラバースへ入る
ノリウツギ
花が終わったヨツバヒヨドリ
折り畳みストックが落ちていたので枝にかけておいた 大沢小屋
分かりにくいがカニコウモリ おそらくテンニンソウ
まだ咲いていたヨツバヒヨドリ キオン
赤沢。水量が多かった 湧き水(標識にそう書いてある)
ソバナ いつも涸れている鳴沢も僅かに流れあり
アジサイ 車道に出た
車道から見た針ノ木岳 ノコンギクの仲間だと思う。似たものが多すぎて判別不能
キンミズヒキ
トモエシオガマ オオカニコウモリ
ここで水浴び
花が白なのでおそらくイワアカバナ おそらくテンニンソウ
電気バスが行き来していた 登山口
登山口横の車道ゲート 扇沢駅
駐車場はかなり埋まっていた 市営無料駐車場。今の時期は整理員はいなかった


・今週は大気の状態が不安定な日が続き、長野市ではいつ雨が降るか分からない状態で自転車通勤では雨カッパが必須だったが、週末になってやっと天気が安定するとの予報に変わった。山間部では一時的な夕立があるかもしれないが広範囲での雨は心配ないとのことで、久しぶりに安心して北アルプスに入ることができる。先週の大天井岳は雨だったからなぁ。

・行先を検討した結果、いい展望写真が得られていない針ノ木岳と蓮華岳に向かうことにした。最初は扇沢馬蹄形周回を考えたが、その場合は時間的、体力的に蓮華岳を割愛せざるを得ず、平野に面して展望が期待できる蓮華岳を逃すのはもったいないと判断したためだ。今回は登山道の途中にはみ出した笹や木の枝で濡れる心配はないだろう。前回は雨の直後に登って大いに濡れてしまい、帰りも早々に雨に降られた。

・金曜夜の扇沢の市営無料駐車場は9割程度埋まっていたのには驚いた。約1ヵ月前の前回は4連休中だったので混雑は予想できたが、普通の週末でもここまで埋まっているとは思わなかった。私と同じように車中泊の人も見られるが、お互いに静かに過ごすためにもそのような車の横は避けて駐車した。私が動き出しすのは夜中だから。

・今回はまず日の出の時刻に蓮華岳に登り、針ノ木岳には写真写りがいい時間帯に到着するように計画。蓮華岳まで約4時間と見込んで午前1時過ぎに出発。さすがにこの時刻に歩いている人は皆無だが駐車場へ入る車はポツポツとやってくる。遠路はるばるやってきた人達だろう。ご苦労様。頭上は満天の星空で予報通り好天が期待できそうだ。

・登山口の登山指導所のテントはもう無くなっていた。お盆過ぎはこんなものだろう。1ヵ月前はたくさん見られたタマガワホトトギスは全く見られず、代わりにまっすぐ立った白い花を咲かせた植物を多く見たが、高山植物ではなく山野草の類は種類が多過ぎてネットで調べるのに苦労したが、どうやらテンニンソウらしいと特定できた。

・車道を離れて登山道へ。先週の一ノ沢コースは水が多かったが、ここでも出だしは水が多く登山道が沢になっていた。前回、オタカラコウやメタカラコウが生えてた地帯から流れる沢の水だろう。今回も防水性皆無に劣化した登山靴を履いているので、水の中に足を突っ込まないよう石の上を伝って歩いた。ちなみにオタカラコウ、メタカラコウとも花は終わっていた。

・いつもは完全に伏流化している鳴沢では初めて地表に水が流れているのを見た。次の赤沢はいつも水が流れているが、今回はどこを渡るか思案するほど水量が多かった。今週も天気が不安定だったので山では結構な雨量が降ったようだ。

・今年は営業休止の大沢小屋を超えると登山道にはみ出した笹がぐっと減って快適に歩けるようになる。今年は登山道の刈払いは行われるのであろうか?

・篭川に降りる手前で先行する若者2人組に遭遇。私より先に出発した人がいたとはびっくり。私よりも軽装で、おそらく扇沢馬蹄形日帰り周回だろう。私が追いついたくらいだから私よりもスピードは遅く、追い越してすぐに差がついてしまった。真っ暗な時間なので体力的に遅いのではなくライトの光で狭い範囲しか見えないので遅いだけかもしれない。

・標高1800m付近で篭川河原に降り立つ。前回はこれより手前で雪渓に乗れたが、今回は雪は見当たらず沢の流れる音が激しい。この時期に針ノ木雪渓を歩いたことはないが、おそらく白馬大雪渓と同じく登山口に近い側の岸に秋道が続き、雪渓が出たところで雪渓に乗って前回と同じ右岸側秋道へ乗るのだろうと軽く考えていたが、これは不正解であった。

・秋道は左岸側に沿って続き、標高1840m付近で通せんぼするように枯れ枝が置かれていたが、このまま左岸を歩けばどうせ雪渓に出るはずだと枯れ枝は無視して直進の秋道へ。しばらくは明瞭な道が続くが河原に下ると道は消失。まだ左岸を歩けるので適当に歩きやすいところを選んで上流へと歩いていくが、やがて左岸は岩壁で巻けなくなり、流れがその岩壁に直接当たる場所が登場して行き詰ってしまった。こんな場所が登場する前に雪渓に乗れると思ったのだが、ここから見る限りは沢に雪は無い。それに水量が多くて対岸に渡ることもできない。ということは秋道はここより下流で橋で右岸に渡るはずで、せっかく高度を上げたが逆戻りだ。あのとうせんぼの枯れ枝で右岸側に向かうに違いない。

・逆戻りしてとうせんぼの枯れ枝まで戻ったが、追い越した2人組はまだやってこず後方に光が見えている。ここから河原へと下るように明瞭な道が延び、すぐ先に木の橋がかかっていた。立派とは言えないがこの橋が無ければ対岸へ渡るのは不可能な水量と水の勢いであり、みすぼらしくても大変役立つ橋であった。

・右岸に移って少しの間は河原を歩くが、やがて高巻きに変わる。斜面にはモミジカラマツの白い花の群落が。この時期に咲いているのはおそらく遅くまで残っていたであろう雪渓の影響だろう。この秋道はまだ通れるようになってさほど日数は経過していないようで、場所によっては踏跡が薄くなることもあるが目が慣れればライトの光でも完全に見失うようなことはない。人が歩いた場所とそうでない場所では地表の様子が明らかに異なる。ただし河原のように石ころだらけの場所では判別しにくいが。

・このまま右岸をずっと歩けるのかと思ったら、標高2020m付近の小さな橋で左岸へ渡り返す。まだ暗い時刻なので広範囲で周囲を見渡すことはできないが、おそらくこの上部は右岸は岩壁になるのだろう。

・左岸に渡っていきなり岩壁帯の急登が始まった。この付近は右岸も左岸も岩壁らしい。岩壁と言っても岩登りの技術が必要なレベルのルートではなく、鎖が下がっているがそれろ利用せずとも自然の岩角を利用してホールド、スタンスで3点支持を守れば安全に通過できる。ただし下に人がいるときには浮石を落とさないよう注意が必要だ。

・岩壁帯を登りきるとトラバースへ変わる。低い樹林帯では足元はしっかりした土で歩きやすいが、樹林が消えて開けた斜面に変わると少しザレた斜面に細い道が続くようになり、いかにもつい最近歩くようになったルートに見えた。おそらく少し前までは雪渓を歩けた区間なのだろう。

・トラバースが続いてそのまま広い河原に下り、再び右岸へと秋道が移動して1ヵ月前に雪渓から右岸へ上がった場所に出た。今回も軽アイゼンを準備したが、結局、雪渓を歩ける区間は皆無であった。下りは雪渓で涼めると思ったが当てが外れた。

・ここまで来れば勝手知ったる道なのでもう心配はない。この先は大きく高巻きする場所は無く、ほぼ沢に沿って上がっていく。遅くまで残る雪渓の影響か、沢沿いは稜線よりも夏の花が格段に残っていた。未だにミヤマキンポウゲやヨツバシオガマ、ミヤマダイモンジソウ、モミジカラマツが大量に咲いていた。

・これまでは満天の星空で県境稜線がシルエットとしてきれいに見えていたが、いつのまにか稜線にガスがかかるようになっていた。針ノ木岳や蓮華岳より低い稜線にガスがかかっているということは山頂もガスの中だろうか。天気予報や予想天気図を見る限りはそれほど悪くない天気と思えたのだが。もしかしたら時間が経過するとガスが晴れるかもしれない。

・最終水場で水を200ccほど補給。この程度あれば十分だろう。最後はガレた斜面にジグザグに付けられた登山道を登って針ノ木峠へ到着。まだ薄暗い時刻で針ノ木岳に向かうライトの光が見えていた。しかし悪いことに針ノ木岳方面はガスがかかっており、計画通りにまずは蓮華岳へと向かう。蓮華岳もガスがかかっている可能性が高いが、もし時間経過でガスが晴れるなら標高が高い針ノ木岳で晴れてもらいたいとの判断があった。

・ここまで上がってくる途中で谷間でも風があったので稜線では風が強いと予想したが、針ノ木峠ではそうでもなかったのが蓮華岳方面に少し上がると南西の強風が徐々に強まり、体感的に寒くなってきたので防寒装備を装着。今回は気温も湿度も高いと予想して防寒装備は減らしたが、少なくとも風対策の手袋は準備すべきだった。持ってきた軍手では風通しが良くて寒すぎた。しかし昨夜の天気図からでは強風は予想できないよなぁ。ハイマツ帯が切れて砂礫の斜面に変わるとますます風が強まり、風のピークではよろけたり背中から風に押されて強制的に走らされることも。ここまでの強風は久しぶりだ。この頃には十分に明るくなり先の様子が見えるようになった。背後の針ノ木岳方面は完全にガスの中だが、蓮華岳方面はまだガスがかかっていない。爺ヶ岳にもガスがかかっていないので富山県境から東に飛び出た場所ほどガスがかかりにくいようだ。蓮華岳山頂到着まで持ってくれるといいのだが。南には八ヶ岳、富士山、南アルプスがすっきりと見えていた。常念山脈には全く雲がかかっておらず、あちらに行けば良かったかなとちょっと後悔。

・2重山稜帯でやっと風がブロックされてほっと一息。ここは夏場はチングルマ等のお花畑が広がっていたが、今はミヤマアキノキリンソウやイワギキョウなど秋の花ばかりだ。前回見かけたミヤマリンドウは場所を変えて咲いていた。早く咲く株と遅く咲く株があるようだ。ミヤマダイコンソウもおしまいで、コマクサもしおれた花が僅かに残る程度であった。

・最後も風に背中を押されて蓮華岳山頂へ。いつの間にか背後までガスが迫り、時折山頂にもかかるようになってしまった。そして蓮華岳山頂到着時には残念ながらガスに覆われてしまった。蓮華岳は何度も登っているが一度も展望が開けたことがないという、めぐりあわせの悪い山だ。東方向のみ時々ガスが切れて朝日に照らされた東尾根が見えるがすぐにガスに閉ざされてしまう。しかしここで思いついた。ブロッケン現象が出る条件ではないか! まだ日が低く、朝日がある東方向だけガスが切れて直射日光が差すが、影が延びる西側はガスがかかったままだ。またガスが開ける瞬間を待つと期待通り明瞭なブロッケン現象を見ることができた。期待した展望は楽しめなかったがまあよしとしよう。

・短い休憩の後、次の針ノ木岳に向かう。相変わらず砂礫の斜面では強風が吹き荒れ、正面から風を受けると呼吸しにくいくらいだった。ガスが出ているのでライチョウが出てこないか期待したが、風が強すぎてライチョウを探すどころの話ではなかった。

・ハイマツ帯に入ってやっと風が落ち着いてきて、針ノ木峠では弱風に変わっていた。普通は鞍部が最も風が強いことが多いが、風向きが南西から西寄りだからだろう。テントが数張あったが、これなら風にあおられることは無かっただろう。

・峠から針ノ木岳までの登山道は蓮華岳と違って稜線北側を巻くルートが大半であり、風がブロックされて大助かりだ。ガスで展望が無いのは残念だが、咲き残った花を探しながら歩けるのでがっかりではない。さすがに夏の花はほぼおしまいで、お花畑の主役は秋を代表するウメバチソウとミヤマアキノキリンソウ。その他にイワギキョウ、ウサギギク、ミヤマリンドウも。1ヵ月前は針ノ木岳への稜線ではミヤマリンドウはほとんど見られなかったが、いまはたくさん顔を出している。沢沿いで見られたミヤマキンポウゲやモミジカラマツは皆無で、ほんの僅かだけヨツバシオガマが残っていた。あと、この時期に意外に多いのがミヤマホツツジ。これは初夏からあちこちで見かける花だが、高さや場所によって咲く時期が大きく違うのかもしれない。ツツジの名が入っているのでツツジの仲間だと思うが、ツツジは春から初夏に咲く印象が強く、秋に咲くのは珍しいかな?

・登山道が北斜面から稜線に移るとまた強風に曝され体感的に寒くなるのでゴアを着用。もう少しで山頂だがそこまで我慢できない寒さだった。

・岩が積み重なった稜線を登りきるとガスに覆われて展望皆無の針ノ木岳山頂に到着。南西の風が強く、スバリ岳方面へと下る道の入口付近で風を避けながらザックに入っている防寒装備をほぼ総動員した。今日は晴れて暑くなるだろうと麦藁帽子を持ってきたが出番がない。

・このまま下るか、それともガスが晴れるのを期待してしばし山頂に滞在するか悩んだが、天気予報を信じて晴れるのを待つことに。その間に山頂付近で咲き残った花を探す。意外にも1ヵ月前にも咲いていたタカネシオガマがまだ咲いているのにはびっくり。でも前回に見られたイワオウギ、ミヤマオダマキなどの花は終わっていた。他に残っていたのはイワツメクサ。前回気付かなかったミヤマミミナグサが山頂の岩に生えていた。トウヤクリンドウはたくさん出ていた。種類は分からないが明らかにリンドウと思われる花を発見。色は青と言うより紫に近く、葉は青ではなくミヤマママコナのように茶色に近い。大きさ的にはミヤマリンドウとオヤマリンドウの中間くらい。珍しい種類なのか、それともミヤマリンドウやオヤマリンドウの個性の強いものなのだろうか。

・針ノ木岳山頂で粘ること約1時間。やっと時々頭上に薄い青が見られるようになった。このまま晴れるのかは分からないが、これまでずっと真っ白だったのを考えると期待が持てそうだ。そして強風と共に西から吹き上がってくるガスが短時間ながら切れて立山、剱岳の姿が一瞬見えた! 正確には立山にはガスが絡んで稜線は見えないが、剱岳周辺は雲は無く稜線がきれいに見えていた。

・ガスが切れる時間が徐々に長くなり、とうとうお隣のスバリ岳への稜線が見えるようになるとその後は一気にガスが晴れてきた。待っていて良かったぁ。先に晴れたのは南側で、槍ヶ岳と奥穂高岳を除いてすっきりと見えていた。裏銀座方面のガスも取れて鷲羽岳、水晶岳、赤牛岳が姿を現す。その右手にはカールを従えた薬師岳。その右手の五色ヶ原から立山と鹿島槍から北側の後立山の雲はなかなか取れなかったが、最後は白馬岳を除いて姿を見せてくれた。顔を日焼けしそうな天気になったので途中で日焼け止めを塗った。これで帰りは麦藁帽子が活躍するだろう。

・山頂で待っている間にポツリポツリと登山者が上がってきてはスバリ岳方面へと縦走に向かっていた。明日も好天の予報であり安心して午後も歩けるだろう。針ノ木峠から針ノ木岳山頂往復組は半分以下だったっと思う。

・最後に展望写真を撮影して下山開始。実は金曜日に太ももを机の角に強くぶつけて青あざができて筋肉痛のように痛みがあったのだが、その痛みは特に下りで強く出たために下山で苦労した。痛みをカバーしようと妙な歩き方になったようで、翌日にはお尻の筋肉が筋肉痛になったほどだった。この文章を書いている時点でまだあざが残っている。

・好天の下りは振り返った針ノ木岳が映える絵だった。これに高山植物がプラスされればさらに良かったが、この時期ではそれは望めない。この時間に登ってくる登山者は私と同じく今日扇沢を出発した登山者のはずで、馬蹄形周回の人もいれば針ノ木岳往復の人もいるだろう。小屋泊まりやテント泊の人はまだここに達していないだろうな。

・針ノ木峠に到着する前に体が温まって防寒装備を脱いで半袖半ズボンの本来の姿に。この衣類はトレラン風だが頭の麦藁帽子はトレランとはかけ離れた装備で、足元の登山靴やザックは普通の登山者。自分でもアンバランスな格好だと思う(笑)

・針ノ木峠を過ぎると登りの登山者の数が増えてくるが、今回は大パーティーの姿は無かった。もしかしたら高校、大学の部活はコロナの影響で自粛だろうか。

・秋道のトラバースは道が狭いので場所を選んですれ違い。沢沿いは稜線よりずっと花が多く残っているので待ち時間でも楽しめる。左岸を大きく高巻きする区間では背の高いコゴメグサあり。他の山で見たコゴメグサは森林限界以上に生えている背の低いミヤマコゴメグサだったが、ネットで調べた結果、背が高くてもミヤマコゴメグサのようであった。背の高いママコナも見られ、花の模様から頭にミヤマが付かないママコナらしかった。

・最後の橋を渡って左岸に道が移り、往路で私が直進した秋道を登っている人を見かけ、すれ違う時に声を掛けたらピンクリボンがかかっているのが見えたので直進したとのことだったので、木に結ばれていたリボンを解いて石に巻き付けて正しいルートの脇に置いておいた。この手のリボンは使ったことがなかったが、大して固く結ばれていないのに解くのに苦労した。思ったよりも表面が滑りにくいらしい。

・沢沿いの河原のような開けた場所ではゴマナが咲いていた。これも秋を代表する花で比較的広範囲で見られる。河原から斜面に上がったところは夏場はお花畑だがもう花はおしまい。樹林帯ではまだノリウツギが咲いていたが、これとは別の種類の木にも花が。しかし種類の特定に至っていない。高山植物ではなく山野草の部類は登山の記録を探してもほとんど登場しないので、種類の特定が難しい。

・林道に出て前回水浴びした場所でまた水浴びしようと思ったら、登山道ではあれほど水が多かったのに沢に水が無い! 仕方ないので諦めようと思ったら、道路を2回くらい横断したら左手から沢音が聞こえたので道を離れて行ってみると、先ほど水浴びしようとして涸れていた沢の続きで、本流は相変わらず涸れているが横から流れ込む水路から勢いよく水が落ちていた。冷たく澄んだ水で濡れタオルを洗って汗を拭き取ってさっぱりできた。

・扇沢駅を黒四ダム方面へ発着するバスはEV化されているのでディーゼルのエンジン音は無く静か。まあ、以前からディーゼルではなくトローリー式のEVだったが。天気がいいせいか有料駐車場は満車までいっていないと思うが結構な入り具合。無料駐車場はほぼ満車だったが数台の空きがあった。前回は無料駐車場入口に整理員がいて、数台の空きがあっても満車として入口を塞いでいたが、今回は整理員はおらず出入り自由。それでも駐車場に入ってくる車は少なかった。着替えて軽く飯を食って駐車場を後にした。

 

山域別2000m峰リスト

 

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